手紙
君が心を病んでいると、昔の仲間が教えてくれた。
それまで君のことは忘れていたのに、急に昔のことが甦ってきたんだ。
ボクは君の教科書の朗読がとても好きだった。眠いだけの授業も、その時だけはまるで音楽のように、心地よく響いていた。そう言えば、君はアナウンサーになりたいって言ってたよね。
ボクが書いたものを君に朗読してもらったら・・・そんなことを本気で考えて、自分で笑ってたこともあった。君に会えなくなってからも君のことを思うと、ボクは不思議と楽しかった。
二人でよく読んだ図書室の本のにおい。
先生に頭からふりかけてもらった校庭の桜の花びら。
運動会のピストルの音。二人三脚で二人の足をくくっていた真っ赤なはちまき。
教室の中に舞っていた、チョークの白い粉。
ボクの友達だった君が、あんなに輝いていた日のことを全部忘れて、どこかへ行ってしまったなんて。(02.03.19)
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