仲間
この村に何十年ぶりの大雪が降った年、
ぼくらは裏山で腰までの雪をかきわけ、大きな樅の木を切った
クリスマスツリー・サンタクロース
みんなのほっぺたは真っ赤だった
あんな雪はもう降らない
一列に並んで鼻をつまみながら、虫下しを飲んだ渡り廊下
ホームランのたびに、田んぼへボールを探しに入った狭いグランド
髭の先生の大きな声に首をすくませた教室
今は朽ち果て跡形もない
裏山が白く時雨れる朝
メガネの先生のいつになく小さな声「今日で廃校です」
廃校の意味も知らずに、ぼくらは校庭に並んで記念写真を撮った
写真屋のおじさんは、「笑って」と言わなかったので、
誰もが顎を引いて、膝の上に握り拳を作っていた
あのときぼくらが宝物みたいに握っていたものは、なんだったのだろう
(02.03.27)
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