霧の街を見下ろして
幣舞橋(ぬさまいばし)をまばらな車が行き交う。歩いて渡る人は、ほとんど見かけられない。空はどんより曇って、小雨でも降っているのだろうか、道路もビルも濡れているように見える。
橋から真っ直ぐにのびている道路のはるか向こうは、雲が垂れ込め霞んでいる。水面は深く緩やかに流れ、誰かを待っているように、船がひっそりと浮かんでいる。釧路の街は、息をひそめどこまでも静かに佇んでいる。
釧路市大川町の上空30メートルに設置されたカメラは、刻々と変わる街の息遣いを映し出す。こんなに離れているのに、まるで手を振ればわかるような近さで、映像を刻んでいる。そのまま降りていけそうな、不思議な感覚にとらわれながら、釧路の街を見下ろしていた。
私はいつかこの街に降り立つことがあるだろうか。幣舞橋に立ち、緩やかな川の流れに何を思うのだろう。
(02.09.13)「kiyomizumai」より転載
釧路の街は「ライブカメラ」でご覧になれます。(新しい窓が開きます)
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