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「エプスタインさん、ビートルズは成功しませんよ。」
「あの子たちは、いつかエルヴィスよりもビックになります!」
(デッカA&R部長とマネージャー・エプスタインのやりとり)

1962年ビートルズがデビューする前のこと。
大手レコード会社デッカのオーディションを受けるが、不合格通知が届く。
納得できないマネージャーのブライアン・エプスタインは、直接乗り込んで行く。デッカA&R部長ディック・ロウの言葉に頭にきたエプスタインは、捨て台詞を残して出ていった。
このあとオーディションレコードは、プロデューサー、ジョージ・マーティンの手に渡り、EMIレーベルと契約、ビートルズが誕生し、エルヴィスよりもビッグになる。

ディック・ロウには、感性がなかったのだろうか。見る目がなかったのだろうか。
そうではないだろう。なぜならばこの後オーディションで、ローリング・ストーンズをとって成功している。
人生なんてそんなもの。そう達観する程老いぼれてはいないし、それほど経験豊かではない。けれどそんなことは、今までいくらでもあった。どんなに努力しても、どれほど頑張ってもうまくいかないことはいっぱいある。
彼らだって何かがほんの少し違っていたら、そういうよくある話で終わったかもしれない。そうならなかったのは、彼らの才能、エプスタインの執念、マーティンの手腕、おそらくそれら全部だろう。ロウになくてエプスタインにあったもの、それはなんだったのだろう。

出会ってもすれ違うだけの人もいる。互いに何も感じ合うことのない人もいる。お互い相手の中の光るものに、気づかないことだってある。
エプスタインには見えていたもの、エプスタインが見ようとしたものが、ロウには見えなかっただけのこと。
もしかしたらそれを、運命と呼ぶのかもしれない。(13.02.27)

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